第8章:Pinarelloと共に:2000.前期

 8-1

 ここまでは過去の記録だったのが、ついに追い付いてしまったので現在進行になる。章のタイトルもどうも付けにくいしまだレースも始まらないし困った。で、『今年の目標』だ!!

1:筋力アップ
2:脚の痙攣(つり)撃退
3:長距離に強くなる
4:平地に強くなる
5:やっぱり上りも強くなる
6:公道ではコーフンせず安全第一

1:筋力アップ まずは時々現れる右膝の痛み対策としての大腿筋の強化。これは昨年5月の「高尾~糸魚川294kmファスト・ラン」の予行演習で所沢~蓼科200kmを走った際、160km地点で余りの激痛に動けなくなってDr.飯塚の診察を受けて以来、アドバイスにより心がけてはいた。ジムのマシンでレッグカール、レッグエクステンションを積極的にやっていたもののそれ程頻繁には通っていなかったのを改めることに。インストラクターに今までのトレーニングプログラムよりきつめ、多種のものを組んでもらって全般的にもアップを計る。もちろんムキムキになるのではなくバイクに必要なところをトレーニングする。従来はベンチプレス、バタフライマシン、バック・エクステンション、レッグプレス等に前述の大腿筋トレで35分ぐらいで済ませてから泳いでいたのだが、新たなメニューでは色々増えて1時間半かかる。さらにランニングをとりあえず 2.4km 加える事にした。以前は1kmぐらいで右膝がなんと言うか突き指したように痛んで走れなくなってしまったのだが久々に走り始めたら今のところ大丈夫だ。会長が3km15分とか言っていたので 2.4km の内の2km を10分で走り始め、今は9分にしている。しかし会長は近頃3km13分台に突入したもよう。いずれはこちらも3kmに延ばし12分を目指そう。
 目標は週2回。まあ無理だが。

2:脚の痙攣(つり)撃退  大体60km走行ぐらいで軽くつり、収まってから80kmあたりで再度重症になって現れるのがパターンだ。特に昨12月の<ツインリングもてぎ99km>では悲惨な状態(第七章5節)だった。あの苦しさはご免じゃ。トレーニング後も昼寝しようとすると突然襲われることが多々ある。カリウム不足が原因とも言われるがバナナやプルーンをいくら食っても改善のきざしは無い。面倒臭がらずにストレッチの習慣をつけることに決定。走り終わってすぐのビールも我慢してまずはストレッチ。でもこの程度じゃ変わりそうもない。バナナ以外にカリウムを採る方法はないのか?<つり防止>効果大と言われている有名なベルギー製ドリンク<3 Action>も2年使っているが効かない。尤もこれは粉末なのでついケチって薄めに作ってしまうせいかもしれない。だれかいい方法を教えてくれ!!

3:長距離に強くなる  <つり>も長距離には問題だが、当然ながら純粋な脚力も大問題だ。前述の<もてぎ99km>では序盤37~38km/hだった平均速度が50km走行あたりでは32km/h、80km過ぎでは遂に30km/hを割り込んでしまった。まだ脚がつる前にである。その時点での周回ごとの平均心拍は140前後だった(序盤は156~162)ので本来なら全く余裕の筈なのに回せない。脚力が心肺機能に全然追い付いていないと言うことなのだろう。単純な筋力だけでなく回転力を磨く必要もありそうだ。

4:平地に強くなる  平坦コースはどうも苦手なのでなんとかしたい。

5:やっぱり上りも強くなる  平坦が苦手とはいうものの、だからといって上りが得意と言えるかというとこの程度では<いぬふぐり>以外では通用しないのである。体重の軽さと心拍の低さを生かしてもっと強くならねばいかん。

6:公道ではコーフンせず安全第一  12月の事故で反省。その時はエキサイトしていた訳じゃないが、自分では色々な局面を想定して走っているつもりだったのに避けられなかった。特に前方に遅い車やスクーターを発見するとシャカリキに抜こうとする習性は改めないと危ないよなあ。

 

 8-2

 昨12月9日の事故以来、12日の<もてぎ>は意地で走ったものの全く乗らないで年を越えた。もともとシーズン最後の<もてぎ>を終えたら暫くは休む予定だったが、痛みと仕事とで期間が長引いた。ジムでのオフトレも出来ず。折れてしまったモゼールの後継フレームに悩んだが各誌絶賛、「吸い込まれるようにペダルが回る」「剛性としなやかさが両立」「緊張するような下りのタイトコーナーでも何事も無かったかのようにクリア」と誉められっぱなしの PINARELLO社の PRINCEに決定。これ程評判のバイクで遅いのは恥ずかしいからかなり躊躇した。レースで高級車を抜くたびに「ケッケッケッ」と思ってそれも励みになっていたのに逆の立場になるのだ。だから酒の席で会長やタマさんに煽られてその気になったものの日にちを置いての実際の注文は某代理店で安くしていた型遅れのウィリエールにした。しかしタマさんから嬉しそうに「もう完売。ピナレロならあるそうだ。」と連絡が入る。しかもピナレロを大々的に扱っている別の代理店では半年待ちということだったのに、そこには一台残っていてしかも正に希望のサイズである。雑誌で散々見たイエローだったので本当は他の色にしたかったがそうすると数カ月後ということなので決定してしまった。12月20日に受け取り少しずつ組み立てて元旦の夕方に完成。ホイールも黄色スポークの Spox なので目立つ。マズイ。

 これで 1月3日にCHAOS のクラブランに参加。3週間振りのライディングだったが浦和所沢バイパス~富士見有料道路という風の強い平坦コースで先頭グループを前半は一応視界内に走れたのはPINARELLO のお陰か。反応がシャープな気がする。65km走行。

 数日後の午後、PINARELLOで玉川サイクルに出かける。「やっぱ反応がいいよー。踏み出しは軽いし。」等と言いつつも何せ自分で組んだのだから余り安心出来ないので各部チェック。するとボトムブラケット(ペダル&クランクの中心部の部品)がガクガクにゆるんでいる。専用工具が無かったので代用品で締めていたのだ。これで反応性云々も無いもんだ。やっぱり俺にはホンモノの違いなど分からんのだなあ。「見せびらかし小僧が来ましたよ」というタマさんの電話で会長もやってく
る。派手で下品という嫉妬のこもった意見を頂く。あれだけ俺を説教口調で煽っておいて「しかし買うかねえ、普通。こんな高いモンを。」という。自分のDeRosa だって相当したくせに。大切なPrince ちゃんに傷など付けられぬ様早々に引き上げ。
それにしても「プリンス」ってモデル名は恥ずかしい。でもピナレロは他も「パリ」や「オペラ」などあまり芳しい名前が無いのだ。

 

  ● 8-3

 1月下旬、またまたもう一台組み終えた。PINARELLO入手後、あまりのウツクシサに「トレーニングでコケでもして傷付けちゃったらどうしよう」と心配になり、オシャカになったMOSER<Alu Gara>の翌年のモデルが在庫処分で半額以下だったのでまたタマさんにそそのかされ買ってしまったのだ。昨秋イトーチャンとDr.飯塚が同じのを既に購入しているのでためらったがモゼールにしか使えない部品のストックも持っていたし何たってメチャ安。しかし愛車だった97年型と比べると、ダウンチューブが剛性確保のためボトムブラケットにむかってテーパー状に極太になっておりズングリしてどうも馴染めない。塗装はじっくり見ないと黒だと錯覚する超ダークグリーン・メタリックで、それだけならいい色なのだが、MOSERのロゴが朱色に銀色のシルエット付きでデカくてバランスが良く無い(イトーチャン&ドクター、ご免よ。個人的好みだからさ)。近所の、オートバイのカスタム・ペイント工房「ウレタン屋」(以前カワサキW1SAのタンクのレストア塗装を以前依頼して大成功)に持ち込もうと考えたが、そうなるとこいつも丁寧に扱わざるを得なくなり練習用という訳にはいかなくなってしまう。まあ、そもそも練習用にはマルイシがあるのだが。ということでそのまま組むことにした。そうそう金を掛けられないから、AMANDAに付けていたシマノ105・9速のユニットを移植、AMANDAにはインターネットで安く手に入れた旧105・8速コンポを付ける。完成後暫くは3台のポジションを同じにすべく細部の寸法を計測し微調整する日が続く。特にピナレロはアヘッド・フォークだからハンドル高を決めコラムを切断しなければならない。一度切ってしまったら更に下げることは出来ても上げられないので慎重に何度も切っては試乗する。こうやっていると、悲しいかな、やっぱりマルイシが一番しっくり来るんだよな。タイムもマルイシが一番良くてピナレロが最下位だったりして。

 それが気になっていたからではないが、2月の初旬、某所にピナレロとモゼールを運んで、アップダウンのあるコースで16kmづつ走り比べて見た。さすがにマルイシまでは。本当はもっと短い距離で何回も乗り換えたほうがいいのだろうが。モゼール、ピナレロの順で測定してタイムはやはり力があるうちに走ったモゼールの方が良かった。アベレージが27.9km/h対27.8km/k、最高速が56.1km/h対53.4km/hである。後に走りバテて更に最高速にこれだけ差があったのに全体で30秒遅れで済んだのはやっぱりプリンスが素晴らしいって事にしておこう!!